(細胞提供者および再生医療等を受ける者に対する説明・同意文書)
患者様へ
自家PRP (多血小板血漿) を用いた毛髪再生治療
【再生医療等提供機関および細胞を採取する医療機関】国領きとうクリニック
【管理者】 木藤 洋一
【実施責任者】 木藤 洋一
【再生医療等を行う医師および細胞を採取する医師】 木藤 洋一
- 1. 1. はじめに
- 2. 2. 本治療の概要
- 3. 3. 本治療の対象者
- 4. 4. 本治療の流れ
- 4.1. 事前検査
- 4.2. PRP投与当日
- 4.3. 末梢血の採取
- 4.4. PRP 調製
- 4.5. PRP 注射
- 4.6. 投与回数
- 5. 5. 予想される効果と起こるかもしれない副作用・事象
- 5.1. 予想される効果
- 5.2. 起こるかもしれない副作用・事象
- 6. 6. 本治療における注意点
- 7. 7. 他の治療法との比較
- 8. 8. 本治療を受けることの同意
- 9. 9. 同意の撤回
- 10. 10. 治療費用
- 11. 11. 試料等の保存及び廃棄の方法
- 12. 12. 健康、遺伝的特徴等に関する重要な知見
- 13. 13. 健康被害が発生した際の処置と補償
- 14. 14. 個人情報の保護について
- 15. 15. 特許権、著作権及び経済的利益について
- 16. 16. 本治療の審査および届出
- 17. 17. 当院の連絡先・相談窓口
- 18. 同意書と同意撤回書
1. はじめに
この説明文書は、当院で実施する再生医療等〔再生医療等の名称:自家PRP(多血小板血漿)を用いた毛髪再生治療〕(以下、本治療)の内容を説明するものです。この文書をお読みになり、説明をお聞きになってから十分に理解していただいた上で、本治療をお受けになるかを患者様のご意思でご判断ください。なお、本治療は、患者様ご自身から採取した血液を用いるものであり、細胞提供者と再生医療等を受ける者が同一ですので、説明同意書は一通といたしました。
また、治療を受けることに同意された後でも、いつでも同意を取り下げることができます。治療をお断りになっても、患者様が不利な扱いを受けたりすることは一切ありません。治療を受けることに同意いただける場合は、この説明書の最後にある同意書に署名し、日付を記入して担当医にお渡しください。
本治療についてわからないことや心配なことがありましたら、遠慮なく医師や相談窓口におたずねください。
2. 本治療の概要
血液の中には、「血小板」と呼ばれる血液を固まらせる役目をする細胞があり、血小板には成長因子 (細胞の増殖に関わるタンパク質)を主とする組織修復のプロセスに重要なタンパク質が豊富に含まれていることが知られています。
多血小板血漿Platelet-Rich Plasma (プレートレットリッチプラズマ、略称:PRP)とは、患者様ご自身の血液を、遠心力を利用した分離装置により、赤血球や一部の白血球から分離された血小板が濃縮された層のことを言い、その安全性の高さから、傷ついた組織の修復に広く利用されてきました。PRPを直接頭皮に注入することによって、PRPに含まれる成長因子が毛乳頭細胞などに働きかけ、発毛を促進し、毛髪再生を図ることを目的としています。
3. 本治療の対象者
本治療の対象となるのは、以下のすべての基準を満たす患者様です。
- 成人
- 額の生え際が後退し前頭部と頭頂部の毛髪が細く短くなっている方、もしくは頭部に類円形の脱毛斑がある方
- 標準的な治療では効果が得られない、もしくは副作用等により既存の治療が継続できず本治療による効果が見込める方
- 判断能力があり、本治療の説明を受け、文書による同意を得た方
- 全身状態が良好な方
また、次の各項目に1つでも当てはまる場合は治療を受けていただくことができません。
- 感染症、悪性腫瘍などの治療に起因する脱毛症
- 易感染性宿主(糖尿病・免疫不全・慢性腎不全・肝硬変)
- 重篤な感染症
- HIV陽性
- 血小板減少症等出血性素因
- 抗凝固剤使用
- 重度の貧血
- 治療部位に皮膚疾患(脂漏性皮膚炎、白癬、アトピー性皮膚炎など)またはケロイドがある方
- 再生医療等を行う医師が不適当と判断した方
4. 本治療の流れ
事前検査
事前に血液検査をお受けいただき、感染症等 (HIV、HBV、HCV、梅毒など) の有無を確認いたします。検査の結果HIV陽性が確認された場合は、本治療をお受けいただくことができません。HIV以外の感染症等陽性については、患者様の同意のうえPRPの投与を行います。
梅毒の場合は先に原疾患の治療を優先し、希望・必要あれば PRP の治療を行います。(同意の上という点の内容を表記しました)
また、患者様の全身状態を確認するために医師が必要と判断した場合は、血液生化学検査、血液学検査をお受けいただきます。
PRP投与当日
本治療は、【1】末梢血の採血、【2】PRP調製、【3】PRP注射の手順で行われます。
末梢血の採取
当院では、PRP 調製キットとして Condensia システム (京セラ株式会社製) を使用します。
患部の大きさと症状により、1~3本のキットを使用します。(一般的な方は1本です)
患者様の腕より、注射針を接続した注射器を使って採血します。
PRP 調製
採取した血液を遠心分離器で遠心し、PRP を調製します。
PRP 注射
頭皮の薄毛部分に PRP を投与します。
痛みを防ぐため患部を予め冷却をしてから、適切な間隔で注射します。
投与回数
1回~複数回の投与を行います。
追加投与は患部の状態と患者の希望により再生医療等を行う医師が決定します。
5. 予想される効果と起こるかもしれない副作用・事象
予想される効果
PRP に含まれる成長因子が毛乳頭細胞などに働きかけ、発毛を促進し、毛髪を再生することが期待できます。
起こるかもしれない副作用・事象
PRP の原料には、患者様ご自身の血液を用います。他人の組織を移植する場合に用いる免疫抑制剤を使うことがないため、免疫抑制剤による副作用の心配はありませんが、採血のために静脈内に注射針を刺す行為が必要です。採血量は多くはないため比較的安全性の高い処置だと考えられますが、ごく稀に以下の表に示す合併症 (手術や検査などの後、それがもとになって起こることがある症状) の報告があります。きわめてまれです。
また、PRP 治療に関連した偶発症 (稀に起こる不都合な症状) や合併症も考えられます。これらの合併症が起きた場合には最善の処置を行います。
また、調製した PRP が規格を満たさない場合や、調製の途中で発生した問題により調製が完了しなかった場合など、採血を行なったにもかかわらず PRP 注入ができない場合があることをご理解ください。
表:この治療で起こりうる代表的な偶発症・合併症
* 献血の同意説明書 (日本赤十字社) より転記
処置 | 偶発症・合併症 | 頻度・対応など |
採血 | 採血に伴う痛み | 痛みの感じ方の個人差もありますが、通常の場合、次第に治まります。 |
気分不良、吐き気、めまい、失神 | 0.9% (1/100人) * | |
失神に伴う転倒 | 0.008% (1/12、500人) * | |
皮下出血 | 0.2% (1/500人) * | |
神経損傷 (痛み、しびれ、筋力低下など) | 0.01% (1/10、000人) * | |
PRP注入 | 感染 | PRP調製にあたっては、細菌などの混入を防止する対策を取っていますが、完全に混入が起こらないとはいえないため、注入後は、注意深く観察を行います。感染の症候が認められた場合には、適切な抗生剤などの投与により対応します。 |
注入の痛み | 痛みの感じ方には個人差がありますが、痛みは次第に治まります。状況に応じて、事前に麻酔(局所麻酔または表面麻酔)を使用する、事後に痛み止めを処方することがあります。 | |
注入部位の腫れ | 注射後3~4日は、細胞の活発な代謝が行われますので、腫れやかゆみ、赤みが出るなどがありますが、その後自然に消失していきます。 |
* 献血の同意説明書 (日本赤十字社) より転記
患者様に適用される治療の偶発症・合併症などの詳細について質問がある場合は、別途、医師・担当スタッフから説明をいたしますので、ご遠慮なくお問合せください。
6. 本治療における注意点
- 注射後3~4日の間は、細胞の活発な代謝が行われますので、腫れ、かゆみ、赤み、痛みが出ることがありますが、自然に消失します。
- 注射当日は頭皮をこする洗髪等はお控えください。シャワーで軽く流す程度なら可能です。
- 注射当日の飲酒はお控えください。
- 注射部位はそのままで結構です。ガーゼで覆う、キャップをかぶる等は不要です。
- 注射後数日間は血流の良くなる活動 (長時間の入浴、サウナ、運動、飲酒など) を行うことで、治療に伴う痛みが強くなることがあります。ただし、この痛みが強くなったからといって、治療効果に差はありません。
7. 他の治療法との比較
PRP 以外の治療法として、フェナステリド (プロペシア) やステロイドなどの内服薬、ミノキシジルなどの外用剤、自毛植毛手術などが挙げられます。次の表は、PRP 療法と他の治療法の利益・不利益についての比較です。
PRP 療法 | 内服薬・外用剤 | 自毛植毛手術 | |
概要 | 脱毛部位の頭皮に直接投与することで、成長因子が毛乳頭細胞に作用し、発毛を促進する | 毎日経口で服用、または、1日2回直接頭皮に塗布することにより、脱毛を予防し毛髪の成長を促進する。フェナステリドは女性には適さない。 | 後頭部などの頭皮の一部を切除して毛髪を毛包ごと取り出し、脱毛部位に移植する。 |
効果持続期間 | 3~6か月後に効果が表れ、12か月程度持続するといわれる。定期的な投与で効果を維持することが可能。 | 服用 (塗布) 開始後6か月程度で脱毛が減り効果が表れるといわれるが、服用 (塗布) をやめると効果もなくなる。 | 2~3か月で新しい毛髪が生えるといわれる。生着すれば、自毛と同様のヘアサイクルで伸びる。 |
治療後のリスク | 注射後から数日程度、疼痛が残ることがある。一過性の発赤、腫脹、痒みが生じることがある。 | プロペシアの副作用として、リビドー減退、射精障害、肝機能障害がある。ステロイド内服の副作用として、肥満、糖尿病、生理不順、消化器不全などが挙げられる。ミノキシジルによる顔面の多毛がある。 | 頭皮を切除するため、痛みや出血がある。炎症や感染症の恐れがあり、傷跡が残ることがある。 |
品質の安定性 | 患者自身の血液から調製するため、患者ごとに品質がばらつく可能性がある。 | 医薬品として承認されており、品質は安定している。 | 採取する毛髪 (毛包) や頭皮の状態は個人差があり、毛髪が生着しないことがある。 |
アレルギー反応 | 極めて低い。 | 品質管理された安全性の高いものだが、アレルギー反応などの可能性を否定できない。 | 極めて低い。 |
8. 本治療を受けることの同意
本治療を受けるかどうかは患者様自身の自由な意思によるもので、患者様は、理由の有無にかかわらず、治療を受けることを拒否することができます。患者様が治療を受けることを拒否することにより、不利益が生じることはありません。もし患者様が本治療を受けることに同意しない場合も、最適と考えられる治療を実施できるよう最善を尽くします。
9. 同意の撤回
本治療を受けることに同意されたあとでも、いつでも同意を撤回することができます。患者様が治療を受けることへの同意を撤回することにより、患者様に不利益が生じることはありません。もし患者様が同意を撤回されても、最適と考えられる治療を実施できるよう最善を尽くします。
ただし、使用するキットを開封後の治療中止は有償になります。
10. 治療費用
- 本治療は、すべて自費診療であり、健康保険を使用することはできません。
- 本治療にかかる費用は、以下のとおりです。費用は、治療に伴う診査、PRP 調製のための採血にかかる費用、PRP 調製費用、注入にかかる費用の総額です。
項目 | 費用(税込) | 備考 |
血液検査 (感染症等) | 4,400円 | 実施した場合 |
血液検査 (生化学・血液学) | 5,500円 | 実施した場合 |
PRP 1回 | 132,000円 ~528,000円 | 1~3キット分 |
※ 通常の使用量は 1キットです。
- 追加投与の費用については、医師の説明をお受けください。
- キット開封後に PRP 治療をキャンセルされた場合は、投与費用全額をご負担いただきます。
11. 試料等の保存及び廃棄の方法
患者様から採取した血液と調製した PRP は、患者様ご自身の治療のみに使用します。ただし、症例検討や学会発表を目的として、血液や PRP の測定を行い、データを取得することがあります。
血液および PRP は微量で全量を使用するため、保管はしません。治療に用いない血液または PRP が生じた場合は、すべてを適切に廃棄します。
12. 健康、遺伝的特徴等に関する重要な知見
本治療は、細胞提供者と再生医療等を受ける者が同一であり、患者様の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性はありません。
13. 健康被害が発生した際の処置と補償
本治療を原因とした健康被害が発生した場合は、必要な医療処置を行います。当院で行う治療の費用は当院が負担します。その他の補償はありません。健康被害が発生した際は、病院の相談窓口までご連絡ください。
14. 個人情報の保護について
患者様の個人情報は、当院の個人情報取扱実施規程により保護されます。また、患者様の個人情報は、当院で患者様がお受けになる医療サービス、医療保険事務業務、検体検査の業務委託、紹介元医療機関に対する診療情報の提供、症例に基づく研究 (ただし、この場合、お名前など個人を特定する内容はわからないようにします) の目的にのみ利用させていただきますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
15. 特許権、著作権及び経済的利益について
将来的に、本治療を通じて得た情報を基にして研究を行なった場合、その成果に対して特許権や著作権などの知的財産権が生じる可能性があります。それらの権利は再生医療等提供機関に帰属し、本治療や関連した新しい治療法をさらに発展させていくために、当院ならびに大学などの研究機関や研究開発企業が積極的に活用して行くことを想定しています。経済的利益が生じる可能性がありますが、患者様は利益を受ける権利がありません。患者様のご理解とご協力をお願いいたします。
16. 本治療の審査および届出
本治療を当院で行うにあたり、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、日本肌再生医学会認定再生医療等委員会 (認定番号:NB3140006) の意見を聴いたうえで、再生医療等提供計画を厚生労働大臣に提出しています。当該再生医療等提供計画は厚生労働省の「再生医療等の各種申請等のオンライン手続サイト」でも公表されています。
日本肌再生医学会認定再生医療等委員会の苦情・問合せ窓口は以下です。
【日本肌再生医学会認定再生医療等委員会 苦情・問合せ窓口】
電話番号:03-5326-3129
メール :info@jssrm.com
受付時間:平日 (月~金) 9:30-17:30
17. 当院の連絡先・相談窓口
本治療についてのお問い合わせ、ご相談、苦情がある場合は、以下にご連絡ください。
【国領きとうクリニック受付】
電話番号:042-488-5777
メール :https://kitou.clinic/contact/
受付時間:月・木・祝日を除く 10:00-13:00/15:00-19:00
(土18:00まで、日17:00まで)