https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25382509/

上記論文を簡単にまとめ,自分の意見を追加します。■部分が主にコメントです。

女性の 男性型脱毛症に対するフィナステリドとデュタステリドの有効性を検証する

目的: 3 年間にわたり、女性の男性型脱毛症性の脱毛に対しフィナステリドとデュタステリドを投与しその有効性を評価した。
■フィナステリドを1mg使用した研究データは女性には有効性がなかった,と報告されています。 ですが,その後閉経後の場合,多めの抗アンドロゲン剤を使用すす事で明らかに女性でも有効である,という報告は多数されています。 とてもありがたい報告です。 実際には閉経しなくても女性ホルモンが低下してきている年齢の女性には多めの抗アンドロゲン剤の使用は有効な場合がかなりあると思います(多数の報告があります)。ただし,高齢でも妊娠する場合があります。閉経したからすぐに妊娠しない,とは言えません。 女性に抗アンドロゲン剤を使用する場合は避妊の件についてはかなり厳重のお話ししておかなければトラブルの原因となります。 かりに奇形をもったお子さんが世に出生した場合の人生の苦悩に関しては真剣に考える必要があります。

方法: 2002年から2012年の間にフィナステリド1.25 mgまたはデュタステリド0.15 mgで男性型脱毛症の治療を受けた3500人の女性に関する体系的に取得されたデータを含むデータベースから、年齢と薬剤の種類で層別化された無作為標本が抽出され、50歳未満と50歳以上の2つの年齢カテゴリで、両方の薬剤を服用している30人の女性が得られました。治療開始時と3年間の継続的薬剤摂取後の頭皮の3箇所の標準化された顕微鏡画像から、最も細い3本の毛髪の太さを測定しました。肉眼画像は、3人のヨーロッパの皮膚科医/毛髪専門家によって個別に評価されました。診断タスクは、毛髪の優れた密度を示す画像を特定することでした。■50歳で二つのカテゴリーに分けている事はおそらくは閉経前・後のことをある程度考慮している可能性はあると予想します。■

結果: フィナステリドとデュタステリドの両年齢層で、3年間にわたりベースラインからの毛髪の太さが統計的に有意に増加しました (符号順位検定、P=0.02)。毛髪の太さの増加は、フィナステリド群の女性49人 (81.7%) とデュタステリド群の女性50人 (83.3%) で観察されました。平均して、優れた密度を示すと評価された治療後の画像の数は、フィナステリド群で124枚 (68.9%)、デュタステリド群で118枚 (65.6%) でした。50歳未満の年齢層では、頭皮の中央部と頭頂部でデュタステリドがフィナステリドよりも統計的に有意に優れた効果を示しました。

結論: フィナステリド 1.25 mg とデュタステリド 0.15 mg を 3 年間毎日投与すると、男性型脱毛症の女性に効果的に毛髪の太さが増加し、症状のさらなる悪化が抑制されました。

■正確なデータではないので比較は難しいですが,フィナステリド1.25mg とデュタステリド0.15mgは力価的には同じ位なのかな? という印象です。
いろいろな報告で多くは フィナステリド3~5mg デュタステリド0.5mg の使用が多かった印象です。アメリカでは前立腺肥大の薬としてフィナステリドは5mgまで使用可のようです。■

■女性にフィナステリドが有効ではないと判断された報告書はフィナステリド1mgだったと思います。
この報告書では1.25mgなのですが・・・1mgと大差ありません。 研究結果は一つだけの結果だけでは判断はかなり難しいと考えた方がよさそうに思います。
フィナステリド5mgを使用すると女性の発毛にも有効だったという報告は複数あると思います。■