食物アレルギーの中で最も多いのは卵のアレルギーで、それは卵白の成分によるものが多いという説明画像

卵アレルギーの概要

最新の卵アレルギーのお話しをする前に簡単に卵アレルギーのお話しです。 あまり詳しくない方は読んでみてください。

卵アレルギーは、卵白に含まれるオボムコイドというたんぱく質が主な原因です。加熱してもアレルゲン活性を失わないため、アレルギー反応を引き起こしやすいです。 卵アレルギーの症状はいろいろあります。、蕁麻疹や腹痛、嘔吐、呼吸困難などもあります。重症の場合、アナフィラキシーショックを引き起こすこともあり、このような症状の場合、迅速な対応が必要です。

卵アレルギーは乳幼児に多く見られ、食物アレルギーの中で最も一般的です。特に1歳までに発症することが多く、適切な食事の対応をすることで成長とともに改善するケースが多くなります。

診断には、血液検査が一般的に用いられます。卵白に対する特異的IgE抗体を測定し、アレルギーの有無を確認します。

食物経口負荷試験は重症の場合、食事的対応を決定するために行っていると自分は解釈しています。

治療の基本は、アレルゲンを含む食品の除去ですが、最近では免疫療法が注目されています。 ●薬の効果としてはかなり有効な患者さんのおられますが、有効ではない患者さんもおられるようです。 今後の研究は続きます。 国領きとうクリニックに治療方針として重要な事なのでここに記載しておきます。 免疫関係の薬は長期に使用して初めて副作用がわかる場合もあります。まだ数年以内の薬がほとんどです。 自分としては副作用がとても気になっております。 そのため、副作用がほとんど問題ない・・・とわかれば自分が行う栄養療法、除去食などの方法は不要なのですが・・・問題が今後起こる可能性はある程度あると考えており、そのため栄養療法に力をいれています。 

●他院でも栄養療法としてサプリメント、その他の治療をする先生方がおられますが、おそらく除去食という手段はとられないのではないでしょうか? おそらく除去食という手段を経験している最後の世代の小児科医(元小児科医ですが)だと思います。 もちろん除去食をする場合は代替食品の提案ができないといけません。 当院の栄養指導者は優秀です。 食事に関しては院長より具体的なご提案ができると思います。 

食物アレルギーの自然寛解

卵アレルギーが自然治癒しやすい食物アレルギーであるため、年齢とともに自然に寛解することが多いです。 3歳で約6割、7歳で約9割が寛解します。

自然寛解のメカニズムは、成長に伴う消化機能の発達や免疫系の成熟によるものと考えられています。

卵アレルギーは自然寛解しやすいですが、個人差が大きくです。 またすべての人が寛解するわけではありません。 個人差があります。 寛解しない場合、卵アレルギーが成人期まで続く場合もあります。

自然寛解を促進するために現在研究が盛んにおこなわれています。

最新の治療法

経口免疫療法は、アレルゲンを少量から徐々に摂取し、免疫寛容を促す治療法です。この方法は、アレルギー反応を起こさない程度の少量から始め、徐々に摂取量を増やしていきます。

●経口免疫療法は早期にアレルギーを起こす食物を食べる事で免疫をつける・・・という考え方です。  

ここで自分の考えを述べておきます。 卵アレルギーの定義が個人で差がある場合があります。 自分の場合の「卵アレルギー」はアトピー性皮膚炎の湿疹の原因になる場合を想定しました。 程度はいろいろあるのですが、経口免疫療法はおそらく重症な卵アレルギーを軽くする優れた手段であることは間違いないでしょう。

この治療法(経口免疫療法)は、専門の医療機関で行われるべきで、自己判断で行うことは危険です。アナフィラキシーなどの重篤な反応が起こる可能性があるため、医療機関での監視が必要です。

経口免疫療法は治療の効果は個人差があり、すべての患者に有効とは限りません。

経口免疫療法は比較的新しい治療法であり、医療界でも効果的な具体的な方法論を模索している段階です。

最新研究と発見

2023年の研究では、アトピー性皮膚炎の早期治療が卵アレルギーの発症を抑える可能性が示されています。 国立成育医療研究センターの研究によれば、乳児期にアトピー性皮膚炎を早期に治療することで、卵アレルギーの発症を予防できることが明らかになりました。

●ネット上では予防できる、と記載されているようですが、予防できるのではなく 発症率が明らかに少なくなった。という事です。 ゼロになったわけではないのです。 ● 自分の考えとしては 患者さん一人一人の症状を確認してそれぞれでいろいろな対応をした方が良いと考えます。

アトピー性皮膚炎の程度にもよりますが、ある程度卵を控えるとアトピー性皮膚炎は改善する事は経験的に間違いありません。 その食事の制限などをどの程度するのか? は個別の状況から判断すべきだと考えております。

さらに卵アレルギーの原因となるたんぱく質を減量した卵の開発が進められています。キユーピーと広島大学の共同研究により、オボムコイドを含まないアレルギー低減卵が開発され、臨床試験が進行中です。これらの研究は、卵アレルギーの治療と予防における新たな可能性を示しています。

アレルギー低減卵の開発は、卵アレルギー患者にとって安全な食事の選択肢を提供する可能性がありますが価格が適正、かつ実用化可能な範囲になると良いと願うばかりです。