https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jocd.16177 オリジナル記事オープンアクセス
上島智子 医学博士、 平部千恵医師、 キン・ザイ・ヤール・ミントMBBS、MHS、 田口 純一 医学博士 初版発行:2024年1月8日 https://doi.org/10.1111/jocd.16177
上記論文を簡単にまとめると以下です。
目的 AGA と FPHL(FAGAに近いのですが、女性の薄毛一般) の性別特有の毛髪検査上の特徴を調査し、症状の進行の特徴をつかむ事。
方法 男性AGA患者126名をハミルトン・ノーウッド分類、FPHL患者57名をシンクレアスケールを用いて分類し、毛髪直径関連因子、毛包単位あたりの毛髪本数関連因子、毛髪密度関連因子の3つのカテゴリーに分類し、9つの因子を分析されました。
結果 9つの定量的毛髪検査項目のうち、毛髪の直径と毛包単位あたりの毛髪数は、男女ともに臨床段階と強い関連があった事が分かりました。 脱毛評価によく用いられた毛髪密度は、女性では弱い関連があったのですが、AGAでは全く相関しなかった。(全くというのがポイントです) AGAは毛髪の直径が徐々に減少し、続いて毛包単位あたりの毛髪数が減少するという特徴があり、FPHL(女性の薄毛)では毛包単位の毛髪数減少が先であった。
結論 この研究では、AGAとFPHL(女性の薄毛)には異なる流れがあり毛包の縮小による毛髪直径の減少(流れ1)と、毛包単位あたりの毛髪数の減少(流れ2)があることが理解されました。 AGAは通常、流れ1から流れ2へですが、FPHL(女性の薄毛)は流れ2から始まることがわかりました。
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コメント:素晴らしい研究です。 治療上の経験で上記のような感じは確かに感じていました。 自分は良く例えるのが、お化けのQ太郎(きゅーたろう)をたとえに出します。知らない人は若い方だと思います。たとえとしては疑問がありますが、お化けのQ太郎をご存じの方には笑いの要素が少しはいるのか? 若干深刻さが浅くなると感じていいます。
お化けのQ太郎の髪は3本で一つの穴(株)から3本の毛が生えているのですが、女性の多くは若い時分は1穴から3~4本の毛が生えています。 めったにいないですが、1穴から5本の毛が伸びている方もおられます。 この状態が更年期ごろ(更年期の定義は閉経のプラスマイナス5年)から女性ホルモン分泌量の減少により1穴あたりの毛髪数がへってしまっているのだと思います。 1穴から1本しか毛がでていないと・・・結構地肌がすけて見えますね。
毛の本数が減る事になるので毛でさえぎる面積が明らかに減ってしまいます。そのため地肌が見えやすくなってしまう・・・という事になります。
「しかし、これらの知見を確認し、すべての民族に適用できるようにするには、より広範で多様な研究が不可欠です。」 さらに研究者の方は最後にこの文章を記載しており、今後の研究でさらにデータとしての完成度を高めようとされています。