「初期脱毛」という単語があります。 図は頭皮に関しては正確ではないのですが、適切なものがありませんでした。申し訳ありません。

正式な医学単語か?分かりませんが、ミノキシジルの服薬・外用で治療開始後に脱毛が多くなる方がいらっしゃいます。 脱毛予防剤(フィナステリド・デュタステリド)では普通は発生しないと思います。

典型的なのは発毛剤のミノキシジルを飲んで(塗っても初期脱毛がおこる場合はあります)発毛効果がでて、あきらかに発毛する場合です。 結構髪の毛が抜けるのでびっくりされる方がおられます。

どういう事か?とご説明すると すでに休止期(抜ける準備が整っている毛)の髪の毛は抜ける準備態勢にあるわけです。

頭皮の下から新しい髪の毛が出てきた時に、すでに抜ける準備ができている休止期の毛が邪魔になってしまいます。 「早く抜け落ちてください」「そうしないと新しい髪が頭皮にでていけません」という感じになります。 そして休止期の髪は一斉に抜けていくことになります。

毛周期というのがあります。

成長期 2~6年 と言われています。実際には男性の方が短いようです。女性は長いと7年位の方もおられるようです。 6~7年成長期が持続すると髪の長さはちょうど腰の位置あたりになります。 この長さが一般的には限界です。 これ以上は維持できなくて自然に髪が抜けるようです。

退行期  2~3週間。 本によっては3~4週間と書かれている場合もあります。

休止期 3か月(約100日)     これらの毛周期を繰り返しています。

治療として幹細胞(培養)上清液や PRP(多血小板血漿)を使用した場合に「成長期」の延長や「休止期」からの早めの成長期への移行などが起こります。 そうすると上記に記載した ミノキシジルを服薬した時と同じような脱毛が起こります。 この脱毛が「初期脱毛」という単語の定義に当てはまるのか? はよくわかりません。つまり休止期の髪の毛が同時に多量に抜ける状態が発生します。

多量に抜けますのでかなり気になるはずです。 「治療しているはずなのに、どうして手抜けるんだ?」
「今の治療は効いてないのではないか?」 など思いが心の中に発生する場合があります。

本当は違うのですが、「本当に治療は効いているのだろうか?」と思う事が多いと思います。 実際によく「治療はうまくいっているのですか?」と聞かれた事も以前の職場ではありました。

本来人間の髪の毛は成長期・退行期・休止期のタイミングが微妙にずれているのが本当です。
髪の毛が少ない状態で、治療としてミノキシジルのような発毛剤を使用すると、休止期になっている髪の下部から新しい髪が同時に発生してくるのです。

ですから治療をしていて、同時にたくさん髪がにける場合は治療による発毛効果があった・・・とほぼ同じ意味となります。 つまり新しい髪の毛が伸びてきているから、髪が抜ける・・・事が多い、となります。 (もちろんちょっと違う場合もありますので、担当医に聞いてみてください)

髪の毛がたくさん抜けてご心配な時は納得がいかれる時はそのままで良いと思います。 
どうしてこんなに抜けるのか? と思われる場合は主治医に聞いてみるのがよいです。 きっと納得のいく説明をしてくれると思います。