慢性甲状腺炎(橋本病)に必要な血液検査とその意義・・・毛包その他に受容体があるようです。
 つまり甲状腺ホルモンが低下すると発毛の力は低下します。

甲状腺機能亢進症・・・発毛力が低下します。が、現在でも原因は解明されていません。

普通の検査では正常になってしまう場合があります。 さらに本来はもっと甲状腺ホルモンがたくさん分泌されていたのに、低下したために発毛力が低下した場合もあります。 さらに経過の途中で甲状腺機能の異常が増悪する場合もあります。 甲状腺は保険診療ができますので、保険診療で他院との協力が必要になる事があります。 そのため異常がなさそうな方でも円形脱毛症が疑われる場合等は甲状腺、その他自己免疫に関する検査を追加して検査させていただきます。

検査項目 (甲状腺機能低下・橋本病の場合)

抗TPO抗体抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体自己免疫の有無(甲状腺を攻撃する抗体)
陽性なら橋本病の可能性が高い(90%以上)
サイログロブリン(Tg)甲状腺の構成成分。 炎症や破壊で血中に漏れる
破壊があるときに上昇することがある
抗Tg抗体(抗サイログロブリン抗体)こちらも陽性なら自己免疫性の裏付け(60%)
TRAb(TSH受容体抗体)バセドウ病との鑑別のため(橋本病では通常陰性)
陰性:橋本病、陽性:バセドウ病の可能性


TSH(甲状腺刺激ホルモン) 脳下垂体が甲状腺を刺激しているかを見る (甲状腺機能低下時に上昇)
FT4(遊離サイロキシン) 実際に血中で働いている甲状腺ホルモンの量
FT3(遊離トリヨードサイロニン) もう一つの主要な甲状腺ホルモン

鉄・フェリチン・Zn・VitDなど 慢性甲状腺炎と共通する欠乏(特に女性)を調べる
欠乏が伴いやすい(脱毛や疲労の原因)


ポイント解説

  1. TSHとFT4・FT3のセットで“甲状腺機能”を評価
    TSH高くてFT4低い → 甲状腺機能低下症

TSH正常 or わずかに高くFT4正常 → 潜在性甲状腺機能低下症(前段階)

  1. 抗TPO抗体・抗Tg抗体は「橋本病のマーカー」
    抗TPO抗体は橋本病で約90%以上陽性
    抗Tg抗体は60~70%で陽性
    両方とも陽性なら診断的価値が高い
  2. ビタミン・ミネラルも補助的に確認
    橋本病は自己免疫性疾患なので、他の栄養欠乏 (鉄・ビタミンD・亜鉛など)を併発することがよくあります。これらの欠乏が症状(疲労感、脱毛、冷えなど)に関与することも。

まとめ:慢性甲状腺炎(橋本病)で行うべき血液検査

カテゴリ 検査名
甲状腺機能 TSH, FT4, FT3
自己免疫指標 抗TPO抗体, 抗Tg抗体
栄養・補助評価 フェリチン, 血清鉄, 亜鉛, ビタミンD
鑑別用 TRAb(→バセドウ病との区別