ミノキシジル5mg服薬AGA患者の心機能評価 先の文献をおよそ日本語にし、コメントを追加しています。■黒四角のところが作者のコメントです■。この研究は健康な男性が対象です。
低用量経口ミノキシジル(LDOM; 0.25-5 mg/日)は、男性型脱毛症の効果的な治療薬です。
しかし、低用量であっても、ミノキシジルは心電図の変化(心室性期外収縮およびT波逆転)や動悸と関連しています。■最近の米国の報告でも5mgまでの経口ミノキシジルは比較的安全と報告されています。 (5~10mgのミノキシジルは心タンポナーデの発症などのリスクが上昇する事が報告されました)ただし、これはアメリカ人が対象だと思います。体格が若干違いますので日本人の場合は小柄な方に関しては検討が必要かもしれません■
この研究では、男性型脱毛症の治療薬として就寝前にミノキシジル 5 mg を経口投与した成人男性における臨床的、検査的、および心血管系への影響を、治療前 と治療 24 週間後 の生化学的検査、24 時間ホルター心電図モニタリング、および 24 時間携帯型血圧モニタリングで評価しました。
研究には、心血管疾患のない 21 歳から 58 歳の男性 34 名が参加しました。
参加者のうち 4 名が脱落しました。うち 2 名は頭痛、1 名は顔面および脚の浮腫、1 名は治療とは無関係の理由によるものでした。
追跡調査では、7 人 (20.6%) の参加者が頭痛を報告し、1 人 (2.9%) がめまいを報告しました。
1人が (2.9%) が浮腫を報告しました。
19 人 (55.9%) の参加者が多毛症を報告しました。(■これはやむをえないのでは?というのが作者意見です■)
呼吸困難および動悸は報告されず、心血管系の症状は観察されませんでした。
血液検査にはこの母集団では大きな異常は発生しませんでした。
携帯型血圧モニタリングと24時間モニタリングの結果では24 時間のモニタリング期間中、低血圧 (血圧 <90/60 mm Hg) を呈した参加者はいなかった。
平均動脈圧は 24週間後 で覚醒中にわずかに低下した (有意差あり P = .015)。
収縮期血圧の低下は、24時間後は拡張期血圧の低下と差がなかった (有意差なし P = .389)。
1名(3.3%)の参加者が24週間後に頻脈を発症した。が、平均心拍数の全体的な変化は24週間後では認められなかった (有意差なし P = .323)。
24週間後での平均心拍数は検査前での値と高い相関を示した(有意差あり P < .01)。
■心拍数が多い方は治療後、心拍数が多い傾向にあったという事だと思います■。
期外収縮の発生は前と24週間後で差がなかった。
■上室性期外収縮は治療前で26名(76%)に発生し、24週間後では29名(97%)に発生した。(P = .375)統計学的には明らかな差はなかった。この不整脈は正常な方でもある程度の数は必ず発生しているものです、経験的に。■
■心室性期外収縮は前で12名(35%)に発生したのに対し、24週後では13名(43%)発生。
(P = .774)。でこちらも有意差はなしです。
年齢は、体重ではなく、心室性期外収縮の頻度および覚醒時の血圧低下と相関していた
(有意差あり P =0 .03)。■年齢が高いと心室性期外収縮と血圧低下が起きやすいという意味。
血圧が潜在的に低下したにもかかわらず、経口ミノキシジル 5 mg は低血圧を引き起こしませんでした。 ■血圧は低下したけど低血圧の基準ほどは低下しなかった、という事になります。■
頻脈は 低用量ミノキシジル傾向摂取におけるまれな早期副作用として報告されています。
■経験的には少ないけど頻脈(どきどき感)発生はしています。印象としてはデリケート・繊細な方に多い印象はあります。この点は統計的に処理をしにくい部分だと思います。■
今回の研究においては、1人は24 時間ホルター心電図モニタリングによって頻脈が検出されました。■軽い不整脈は自分ではなかなか、気づかない場合が多いです。不整脈は連続すると苦しくなる場合が多いです(自分も経験がありますが、単発の不整脈に関しては自分ではわからない事が多いと思いますが、具体的例でいうと、何もしないのに咳が単発でる時は不整脈の可能性が高いです)■
心拍数は心筋の酸素供給に対する制約に関して大きな制限となるため、頻脈は大動脈弁狭窄症または冠動脈疾患の患者にとって特に危険です。■弁脈症がある患者さんに関してはミノキシジルは特に慎重になるべきと経験的に強く思います。■
今回の研究は高用量5mgのミノキシジルを服用している健康な男性のみに焦点を当てています。
(■5mgを高容量のミノキシジルと言うのか?は疑問が残ります■)
結論として、参加者の生化学的プロファイル、24時間ホルターモニタリング、および携帯型血圧モニタリングに関して関連する変化が見られなかったため、男性型脱毛症の男性にとって24週間の低用量経口ミノキシジル内服は安全でした。■安全でした、と断言するのは問題があります。しかし大きな問題発生には関与しにくい、という事はおよそ予想できると考えます■
■院長・コメントまとめ 見慣れていない方へ 有意差=統計学的な差です。 医学的に差があるというのは統計学的に差がある事を言います。 患者さんの主観による評価ははぶかれます。
「P<0.05」 が一般的な差がある、という解釈になります。 Pが小さい方が学問的には差があるとなります。結論的にいうと、アメリカは少なくともミノキシジルは5mgまでの使用を推奨しています。5mg以上の使用、特に10mg以上では明らかに心液貯留が増えている印象です。
報告が多数あるようです。
アメリカ人の方が日本人より総じて大柄です。 その彼らが5mgを推奨されている、という事実があります。女性は2.5mgまでを推奨されているようです。
男性で、たまに10mg以上を使用されている方をネットなどで知る事があります。
その方たちのコメントに「高血圧でミノキシジルタブレット(錠剤)をもっと多量に使用している場合もあるから大丈夫・・・」と書き込まれている事があります。
ミノキシジルタブレット(錠剤)は高血圧に使用する場合は基本的に利尿剤、βブロッカー(脈を遅くするためだと思います)の併用をFDAは強く推奨しているはずです。
自己責任だから確かにご自分で責任をとるなら良い、、、と言われるかもしれません。
ただ、今は未承認薬の使用で副作用が発生した場合は基本、副作用・合併症の治療に保険は使用不可を厚労省は明言しています。 気を付けてご使用ください。
あと、脈がある程度増える場合が多い印象です。 自分は何も感じなくても、心臓は寝ている間も負荷が今までよりもかかります。 長い年月の負荷はお年を取られた時に心臓の負担を増やしてちょっと心配です。■