薄毛はどこから始まるのか?

薄毛を気にされる若い男性は増えました。

20台の男性です。AGA(男性型薄毛症)を心配して診察に来られました。

パット見ると正常範囲かな? と思ったのですが、せっかく来院されたのでスコープを使用して検査しました。

肉眼的には下の画像です。 

解釈は人によりますが、自分には「ぱっと見」は ふつうの範囲に見えました。・・・が、事実は違いました。
かなりたくさんのAGA(薄毛)を診てきました。 
多くの方はだれが見ても明らかに薄毛がある方がほとんどなので自分でわざわざスコープを当てない場合もありました。  ※大手のAGAクリニックに在籍したこともありましたが、この場合「カウンセラー」がスコープを使用してお話をしてしまっていて(問題になっているようですが・・・カウンセラーが判断つかない場合や円形脱毛症など他の病気の可能性がある場合は医師がスコープを使用して診断等おこなり解説をしていました)医師は病気・薬の説明だけだったり、施術をしたりでした。 つまり自分でスコープを当てる機会がなかったので、自分でクリニックを開業してからのお話になります。

後頭部のスコープ像です。 自分の場合は順番的には一番影響が少ない後頭部からスコープを当てます。
後頭部の髪の太さ・生え方・などが基準となります。
髪の色の変化は染めた後という場合もありますので、のぞいて判断します。

細い毛も少しはありますが、1~2本くらいでしょうか? 短めのものなら成長期の髪がのびている途中という事で大丈夫です。 頻度的には20%以上の軟毛(40μ)より細いものがあるとAGAと判断する、という有名な大手施設の判断基準があります。 自分の印象では10%以上あるのは、正常ではないかも・・・という印象です。

この患者さんの場合、後頭部としては問題ないと判断しました。

頭頂部のスコープ画像です。

後頭部よりすこし「軟毛が多い」、印象です。 軟毛、厳密にいうと40μm以下になりますが、太さはそこまで正確には測定していません。 印象になります。 患者さんにもお見せしているので納得が得やすいです。

軟毛は短めのものが多い印象でした。 この患者さんの場合はパット見は正常に使い方なので「生え変わりの初期、髪が抜けてその後生えた毛がまだ細い」という印象でした。タイミングにもよるので明らかなAGAという印象ではありません。

頭頂部の分け目あたりのスコープ画像となります。
こちらも軟毛(発毛が始まったタイミングもこれだとあり得ると思います)が若干多めですね・・・
というか、結構多いです。 特に画面右の部分は軟毛が生えてきているところ、という印象です。

M字分の少し奥(頭頂側)の部位です。

やはり、成長期の初期の毛がかなり多い印象です。

面積的にはかなり多い印象です。
長くて細いのではなく、短くて細いーーー生え変わりの初期という感じです。

ですが、ある面積の髪がそろって短く、細く 生え変わりの初期というのは・・・ちょっと変です。

M字部分です。(角額かくがく)
ほとんど軟毛です。 しかも、長さがみんな短いです。 

これを見た時はちょっと驚きました。 かなり細い、というかほとんどが軟毛です。 
太い(硬毛)がとても少ないです。

AGAと判断してもよい可能性があります。 
「患者様にもごく初期のAGAと考えてよいと思います」と申し上げました。

・・・その後 患者様に「この画像はHPに使用させていただいてもOK」という許可をいただいて
掲載しています。 その過程で考えたのですが、もしかしたら、「コロナ感染後の脱毛の可能性」も
あり得る、と思います。 

ただこの方の場合、急になったわけではないので、状況からすると「AGA」の可能性の方が高いと思います。
まずはミノキシジル外用の使用を始めることをおすすめしました。

半年後くらいに改善が思わしくない場合は再診をご検討ください、と申し上げました。