「ーーーーーー」以下はガイドラインを転記した内容です。 ガイドラインの主旨は自分のなかでは以下になります。 ステロイドは有効であるが、再発が多い。そのため合併症の副作用に気をつけて使用すること。ステロイド外用、他治療法に抵抗する症例でよく検討のうえ行うこと、となると思います。

ここからは自分のコメントです。 自分は元々小児科・内科の出身で膠原病、重症喘息、その他の病気でステロイドを使用した経験はかなりあります。 

特に小児喘息ではおそらく日本で一番ステロイドを使用していた施設に所属した経験があります。 そのためステロイドの使用に関しては比較的決断にまよう事が少ない方だと思います。 

ステロイドを使用するにあたり、小児科でとくに感じますが、副作用を心配する事でステロイドの使用量が不十分になる事がある。という点があげられます。 「ある程度のステロイド使用量を超えるといずれにしろ副腎の抑制がおこるので、使うなら十分な量のステロイドをはじめから使用するのが患者さん側にとって良い事だ」という事を多くの実際の臨床で経験できたことが大きいと思います。 ステロイドを1日10mg以上使用する場合は多くはすでに副腎は十分量があるので自分からはステロイドを産生しない方向になっていく、と理解しています。

自分は小児科出身なので目のフォローを厳重に教育されました。 ステロイドを飲み始めたらすぐに眼科に行ってそのご定期的に経過観察してもらう事は成人でも必要だと思います。 緑内障・白内障は症状なく進行しています。とくに緑内障は注意が必要です。 網膜圧迫は程度がひどいと数日で失明する可能性があると、眼科の医師から聴いた事があります。

さらに保険診療では不可能ですが、自由診療でステロイドを選択する場合はメチルプレドニンが有利です。 エビデンスは?と言われるとある程度論文上では差があるようなのですが、ダブルブラインドの治験のデータはありません。 メチルプレドニンとデカドロンが優れている・・・という事はある程度確信しています。

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ステロイドの内服療法に関しては,重症型症例に対する5件の非ランダム化比較試験結果より,酢酸コルチゾン109)やプレドニゾロン110~112),デキサメサゾン113)が脱毛範囲を縮小し,発毛が促進することが報告されている.

罹患期間平均6年8カ月の,汎発型10例,全頭型4例,単発型ないし多発型7例の患者に初期量100もしくは150 mg/日の酢酸コルチゾンを4週間以上投与,漸減したところ,3~6週後に汎発型の73%,全頭型の75%,斑状型の71%で毛髪の回復があった109).また,罹患期間平均13.1年の汎発型10例,罹患期間平均3.9年の全頭型4例,罹患期間平均3.4年の斑状型14例の患者に,プレドニゾロン40~60 mg/日を1カ月間投与後,速やかに減量したところ,全例に3~6週後に発毛をみた110).また,罹患期間平均6.7年の32例にプレドニゾロン40 mg/日を1週間投与後6週間かけて漸減したところ,47%で25%以上の毛髪が回復し,16%で50~74%の毛髪が回復,25%で75%以上の毛髪が回復した111).

また,斑状型5例,全頭型4例,汎発型9例に初期量プレドニゾロン5 mg/m2/日の隔日投与を8~42カ月投与したところ全例で発毛した.治療終了後2~30カ月間経過を観察したところ,再発がなかったのは斑状型では40%,全頭型および汎発型では23.1%であった112).デキサメサゾン(0.5 mg/日)も脱例の患者に,プレドニゾロン40~60 mg/日を1カ月間投与後,速やかに減量したところ,全例に3~6週後に発毛をみた110).

また,罹患期間平均6.7年の32例にプレドニゾロン40 mg/日を1週間投与後6週間かけて漸減したところ,47%で25%以上の毛髪が回復し,16%で50~74%の毛髪が回復,25%で75%以上の毛髪が回復した111).

また,斑状型5例,全頭型4例,汎発型9例に初期量プレドニゾロン5 mg/m2/日の隔日投与を8~42カ月投与したところ全例で発毛した.治療終了後2~30カ月間経過を観察したところ,再発がなかったのは斑状型では40%,全頭型および汎発型では23.1%であった112).デキサメサゾン(0.5 mg/日)も脱毛範囲を縮小し,発毛を促進した113). 

一方,経口ステロイドパルス療法の発毛効果に関しては,ランダム化比較試験2件,非ランダム化比較試験1件,本邦のオープン試験1件,症例蓄積研究1件が報告されている.

小児例の経口ステロイドパルス療法の発毛効果に関しては,ランダム化比較試験1件,症例蓄積研究1件,オープン試験1件の報告がある.ランダム化比較試験では平均罹患期間約3年,脱毛範囲が頭部の40%以上もしくは脱毛巣が10個以上の多発型20例にプレドニゾロン200 mg/日およびランダム化の上,16例にプラセボを,各々週1回3カ月間投与し,3カ月間経過を観察したところ,プラセボ群では回復がみられなかったのに対し,投与群では40%で面積31%以上の毛髪が回復した.うち2例は再発した114).

非ランダム化比較試験では,1群は15 mg/体重kgのメチルプレドニゾロン内服の3日間連日投与を2週おき24週間,2群はメチルプレドニゾロン内服の2日間連日投与を3週おき,3群はメチルプレドニゾロン内服を3日間連日投与を3週おきに行った.3群間での有効性は同程度であり,28.6%の症例で75%以上の発毛があったが,再発率が38%と高かった115).

本邦のオープン試験では,局所免疫療法,プレドニゾロン内服療法,メチルプレドニゾロン点滴静注によるパルス療法などの治療が無効な汎発型8例にデキサメサゾン5 mg/日を3~8カ月,週2日投与したところ,3~6 カ月後に3例で毛髪が完全に回復したものの,うち2 例は投与終了後3カ月で再発した116). 

以上のように,ステロイド内服療法ないし経口ステロイドパルス療法はS2以上の重症例で脱毛が急速に進行している症例に,短期的には有効であるが,再発例が多く,長期的な予後の改善や再発例への有効性のエビデンスはないことを説明の上で,使用期間を限定して行っても良い.

肥満・満月様顔貌,緑内障,糖尿病,月経不順,消化器症状,ざ瘡,骨粗鬆症などの副作用の発現に留意する.なお小児への施行については再発例が多く,安全性も確立しておらず,長期に及ぶ副作用の発現も危惧されることから行わない方がよい.