ーーーーーーーーーーーーーーーー以下はガイドラインの内容です。ここからは自分の経験、コメントです。
ステロイドのパルス療法は自己免疫疾患の類だとある程度の効果がでる事が多い、というのが自分の経験上からの意見です。
ですが円形脱毛症に関してはあまり良い経過の報告がない印象です。 とくに再発がかなりあると報告、文献上記載されています。 再発してはあまり意味がないのです。 再発が抑制できる事が医学的に確認できれば良いのですが、再発がかなりの数です。さらに経過を長く追っていくとおそらく再発はもっと増加するでしょう。
ステロイドの内服療法の部分に記載しましたが、ステロイドは使用量が不足していては意味がないです。 さらにある程度のステロイドを使用すると副腎の抑制はかならずおきるはずなので、不足するかもしれない量よりも十分量を使用する方がよい、という印象が経験的にはあります。
同じ病気の部類ではないので比較するのは適当ではありませんが、重症喘息でステロイドを静脈注射で使用する場合、十分量でないステロイドの場合は結局追加でステロイドを使用する事になり、かえってステロイドの使用量が多くなる・・・という現象を何度も自分は経験しました。 そのため初めから不足がない量を使用した方がよい、というのが自分の意見です。
1回のメチルプレドニンの使用量がなぜ500mgなのかな? という疑問はあります。 成人のパルス療法はおそらくほとんど1gのメチルプレドニンが使用されているように思います。
円形脱毛症の治療の本質からずれていますのでメチルプレドニンの使用量に関する記載はやめます。
いづれにしろ、再発がとても多いので選択肢としては特殊な事情がある場合になりそうです。使用する場合は副作用その他をよく理解して行う事が必要です。
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点滴静注ステロイドパルス療法の発毛促進効果を評価するランダム化比較試験は実施されていない.
過去に6件の非ランダム化比較試験があり,最近では,症例蓄積研究5件が報告されている117~121).多発型,全頭型ないし汎発型139例にメチルプレドニゾロン500 mg/日を3日連続で点滴投与し,6~70カ月間経過を観察したところ,脱毛発症6カ月以内で脱毛面積が頭皮の50%以下であれば,88%で75%以上の毛髪が回復した122).
しかし,治療開始時に頭皮の脱毛面積が100%の症例では,発症後6カ月以内であっても,75%以上の毛髪の回復は21.4%にとどまった.全体では,発症6カ月以内であれば,59.4%で75%以上の毛髪が回復したのに対し,発症6カ月を超えた症例では15.8%であった.75%以上の毛髪が回復した16.7%で再発した.発症1年以内,脱毛面積30%以上の9例にメチルプレドニゾロン500 mg/日を3日連続で点滴投与したところ,治療6カ月後に66.7%で80%以上の毛髪が回復した123).
他の報告では,発症1年以内,脱毛面積30%以上の45例にメチルプレドニゾロン500mg/日を3日連続で点滴投与したところ,12カ月後に多発型60%,蛇行型0%,全頭型および汎発型33.3%において,脱毛面積の50%以上の毛髪が回復した124).また,発症1年以内,脱毛面積30%以上の66例にメチルプレドニゾロン500 mg/日を3日連続で点滴投与したところ,治療6カ月後に多発型63.8%,蛇行型0%,全頭型12.5%,汎発型50%において,脱毛面積の80%以上の毛髪が回復した125).さらには脱毛面積30%以上で脱毛が進行中の30例のAAに,メチルプレドニゾロン8 mg/kg/日の3日連続点滴投与を3クール施行したところ,多発型の66.7%で50%以上の毛髪が回復したものの,蛇行型,全頭型,汎発型では50%以上の毛髪が回復した症例は無かった126).罹患期間1~12カ月の脱毛面積30%以上の多発型10例,蛇行型4例,全頭型7例,汎発型6例に対しメチルプレドニゾロン500 mgから1 g/日(10~20 mg/kg)の3日間点滴投与を1カ月おきに1~3回施行したところ,6カ月後では33%で50%以上の毛髪の回復がみられた127).
また,最近の報告でも,メチルプレドニゾロン500 mg/日の3 日間投与によって,脱毛範囲が少なく,再発や有病期間の短い症例,最後の発症から半年以内の症例,末梢血中好酸球数≦250/μLの症例,女性症例に有効例が多いことが示されている117~120).
しかし,急速かつ広汎性に脱毛している症例において,初診時に頭部の皮膚の痛みや痒みが無く,頭部以外の脱毛が無く,ヘアプルテストで棍毛(休止期毛)が抜去され,トリコスコピーにてshort vellus hairs や空の毛孔像が多く認められる場合,治療介入せずとも自然治癒する可能性があり(self-healing acute diffuse and total alopecia),治療前に十分な検討が必要と考えられる121).
以上のように,点滴静注ステロイドパルス療法は発症初期の急速進行中のS2以上の症例において有効例の報告があるが,再発例が多く,長期的な予後の改善や再発例への有効性は低い可能性を説明した上で行ってもよい.
また,広く知られる副腎皮質ステロイドの副作用である肥満・満月様顔貌,緑内障,糖尿病,月経不順,消化器症状,ざ瘡,骨粗鬆症だけでなく,不眠,頭痛,筋痛,血栓症などの発現に留意する.
なお小児への施行については,ステロイド内服療法と同様に,再発例が多く,安全性も確立しておらず,長期に及ぶ副作用の発現も危惧されることから行わない方がよい.